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まだ「発達障害」という言葉さえあまり耳にしないような頃の話しになりますが、当時は障害者の施設といえば内職のような軽作業で雀の涙よりも少ないぐらいの低賃金という、どこか一般社会とは別のところにあるような感じでした。でも、誰だっていつストレスで心身が疲れて鬱病になるかもしれないのだから、軽作業ではない就労支援施設を利用したいと思う人だっているのじゃないか?と思いだしたところから、自身の持っているスキルを活かしたクリエイティブな作業をメインとした「就労支援事業所こころ」を作りました。

自分が好きだったり得意だったりする作業を行って、心身の安定を取り戻し、自分のタイミングで、自分の希望する職種へ就職する。それを支援する就労支援事業所。それがコンセプトです。

設立時はずいぶん珍しがられたりもしましたが、今ではクリエイティブな作業をする事業所はいくつもあって、こころにも2番目の事業所となる「こころプラス」が加わり、主に精神障害、発達障害のある方々への就職支援を行ってきました。

この間にも高校もしくは高等部を卒業した方々が毎年数名、就労移行支援に来られていたのですが、なかなか2年間の利用期限の中で就職へと向かうことが難しく、それならば自前で放課後デイを持てば学生期から関われるので、よりスムーズに就労支援を行うことができるのでは?と考えはじめ「放課後等デイサービスこころん」を作りました。

当初、就労準備型の放課後デイをイメージしていましたが、中高生を対象に支援を行おうとしたところに「不登校」の問題が大きくあることがわかりました。

大人の就労支援を行う中でも「引きこもり」支援は大きなテーマとなっており、なんとか家に引きこもらないように、学校ではなく家でもないサードプレイスの重要性に気づきます。

そこから、放課後デイこころんは、中高生の「居場所」としても機能するように、学習支援、不登校支援を中心に地域へ開放した取り組みを行う施設にしました。

就労支援を行うにあたっては、これから就職しようとする段階での実習がとても重要です。いくら座学でビジネス研修を行っても、実習での経験には勝りません。なので、常に実習を受け入れてもらえる企業さんを探していたのですが、だんだんと自分達にお店があればもっとタイミングよく実践的な支援ができるのに・・・と思いだし、こころプラスに併設する形で飲食テイクアウト専門店舗「真心堂」が令和元年にオープンしました。こちらは淡路本町商店街のお店のひとつとして商店街活動にも参加しています。

小さなお店ですが、清掃・バックヤード作業・簡単な調理・レジ・店頭接客・検品発注・伝票処理などいくつもの作業を切り出して体験できるようになっており、就労前の実習以外にも、放課後デイの生徒さんのお仕事体験などに活用しています。

令和3年には、放課後デイこころんの第二教室ができ、施設もずいぶん増えてきましたが、それでも見学に来られた方やオンライン相談などでは、「こんな施設があるのを知らなかった」「こんな福祉サービスがあるのを知らなかった」とおっしゃる方は少なくなく、ひとりで就職活動に苦労している方や学校に行けなくて悩んでいる生徒さん、そのご家族の方々、引きこもりがちになって行き場を失くしかけている方々などに​、もっと気軽に相談できていろいろな社会資源の情報を知ってもらえる場所が必要だなあと考えていました。

また、地域での「子供たちの居場所支援」の場として活動する中で、同じ区内でこども食堂や学習支援を行っておられる方々と交流を持てるようになりましたが、残念なことにこのコロナ禍で、感染予防的な問題や公民館が借りられないなどの事情で「居場所」が段々と少なくなってきていることにも気になっていました。

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